ブルーベリーシガレット

女子力は2次元ではなく3次元

東京に憧れて、冬

朝は4時に起きた。一人暮らしを始めた土地では初の飛行機に乗る予定だったが、本当に間に合うのか、慣れないことにあたふたしている間に乗り逃してしまったらどうしようか、今日のチケットを持っているのはわたしだからもしわたしが開演時間に居なければ友達も入れない、とか考えてびくびくしていたら予定より早く起きれた。それが4時だった。一通り準備して出発したのは5時過ぎだった。寒くて暗い夜道で自動車を運転する。周りに車はほとんどいなくて、ものの15分ほどで空港に到着した。第1便に乗る予定で来たけど、まだ空港開いてすらない…。ほどななくして自動ドアの向こう側から来た警備員さんがドアを解錠してくれた。ここでようやく「早く着きすぎたな…」と思った。5:40くらいから空港でひとりぼーっとしながら過ごす。前日少し遅かったけど不思議と眠たくなかった。それから人が少しずつ増えてきて、搭乗時間が来て、搭乗して、無事離陸した。

窓側の席を取ったのは外の景色が見たかったからで、羽が真横にある席を選んだのは飛行機に乗ってると実感したかったからだ。その日は雨が降っていて、7:00頃に空に向かった飛行機からは真っ暗で何も見えなかったけど、雲の上まで上がると太陽が昇ってくるのが見えた。飛行機は昇る太陽に向かって進んでいて、ああ、わたしは東に行くんだ、と思った。

羽田空港に着いて、新横浜駅行きのリムジンバスに乗った。この時点でまだ9:00過ぎだったけど朝が早すぎて時間感覚がなくなっていた。

横浜駅に来たのは8ヶ月ぶりだった。8ヶ月前は「ここがあの…!」とインターネットで見た景色との一致に感動する田舎者だったが、今回も関東の地を踏んでいる感慨があった。お友だちとJR改札前で待ち合わせ。先に買っておいてもらったグッズを頂戴するなどして、手近なお店で昼食を済ませて、いざ横浜アリーナへ出陣。

たのしかった。ここ最近で一番笑った。かっこいいもかわいいも面白いもできるということ、よく知っていたつもりだったけど、その「ここまで飛べるのは知ってるよ」っていうハードルを今までも何度でも越えてきてくれたことを、思い出した。

夜の公演も入る予定だったので、また手近なところで食事をして、そそくさと横浜アリーナに戻った。

数時間前に一回見たはずなのに、同じところで初めて見たみたいに笑って、泣きそうになって、センチメンタルになった。やっぱり好きだと再確認してしまった。

演劇の舞台と違って、コンサートの舞台は終演後も隠れたり何かで遮られたりはしない。ほんの数秒前までそこにいて、歌ったり踊ったりたのしい話をしてくれたアイドルの姿が幻だったんじゃないかと思うくらいに静けさのあるステージに、自分の中でアイドルの姿を投影することはできても、それはもう2度と帰ってこない一瞬なんだということを、まざまざと身に染みて感じる。間違いなくたのしかった。

横浜アリーナから退場して、お友だちとまた手近なところで食事をした。1食と言える量の食事を今日4回取っているなと思った。どの食事も全部美味しかった。コンサートを思い出してみんなで項垂れた。うー、とか、あー、とか言って幸せに項垂れた。

ホテルに戻って、シャワーを浴びて、団扇をベッドや窓際に並べるなどのヲタク特有のひとり遊びをきっちりとやり終えて、床についた。明日は帰る日。そう思ってからもう一度、ホテルから見える夜景を見に窓際に行く。


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帰りたくない、とは都会に来る度に何度でも思う。わたしはなぜここに生まれ落ちなかったのだろう、と親にはめちゃくちゃ失礼なことを何度でも考える。来世は絶対、とも思う。夜に灯る景色が、殊更に感傷的な気持ちにさせた。

翌日は本当に帰るだけだったけど飛行機の便が遅かったので、のんびりした。遅く起きて、ゆっくり準備して、久しぶりのお友だちに会いに新横浜駅に行った。とっても久しぶりだったからわたしの顔覚えているかしら?という感じだったが普通に気付いてくれて嬉しかった。駅でほんの少しだけお話して、コンサートに向かうお友だちの背中を見送った。

ここからは赤レンガ倉庫に行ったりして観光をしたが、あんまりうろうろして空港に行けなくなるのが怖くてめちゃくちゃ早めに空港に向かった。赤レンガ倉庫は、何年か前にリトルトーキョーライフのタンデム自転車企画で重岡くんと小瀧くんがチェックポイントとして立ち寄っていたところだと記憶していたので、「ここで、重岡くんは『ちょっとは海見ようや!!』みたいなこと言ってたのか~~~」と笑った。


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空港では、ひたすら時間をつぶす感じになってしまったけど、それも良かった。羽田空港で贅沢に時間を使う感じ、2000円の食事を迷いなく食べられる感じ、わたし大人になったのだなと思った。

本当に本当に、帰りたくないなと思った。もしかしたらここでいろんなことが終わっても、それでもいいと思えるのかもしれない。というのは、さすがに行き過ぎた思考では?と振り返って思うけど、そういう引力というか何かが東京や都会には確実にわたしに働く。 帰りたくなかった。

帰りの飛行機も窓側で羽の横だった。離陸して、夜に浮かび上がる無数の光が都会を物語っていたけど、わたしの乗る飛行機はどんどんそこから離れていって、でも、空が晴れていたから光が見えなくなるには結構時間がかかって、ずっとずっと街の灯りを見ていた。もうわたしの窓からは灯りが見えなくなったとき、わたしは憧れの街を離れて帰るんだな、ともう一回思った。少し涙が出た。

飛行機が着陸して、ついに戻ってきてしまった、と思ったけど、とにかく今回の旅の収穫は飛行機で1泊東京旅行は体力的に全然辛くないことを知ったことだ。今まで「せっかく東京行くなら1泊じゃちょっとね」みたいな思考があったけど、目的が明確でお金があれば1泊でも問題なしということが分かった。まあ、お金があれば、というのが最大の問題というのはある…。

自分がヲタクをするときのマイルールとして『できるだけ東京(より東)には行かない』というのがあるが、これは東京に行くにはお金がかかるし、もっと近い会場で現場が踏めるならそこにかけたい、というのが気持ちだった。あと単純に行き出すと止まらなそうなので自制。が、やっぱり東京には引力があるな、と思う。とかなんとか言いながら8ヶ月前も来てるので揺らぎまくっている。

というか今回は横浜の地を踏んだだけで東京には行っていないので、東京について感傷的になるのは違うのかもしれない。

次こそは、本当に東京の地を踏みたいと思う。東京ドームでコンサートしてくれるって言うなら、またお金かけてくるよ。



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