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女子力は2次元ではなく3次元

「優しい」に感動すること〜向井康二さんの10000字インタビューを読んで〜

「優しいね」と言ってもらうことがある。学生時代も社会人になってからも何回か言ってもらったことがあるし、占いに行くと大抵「あなたは優しい人ですね」と言われる。そもそも「優しい」という言葉はかなり汎用性が高い言葉だと思うし、学生時代の先輩の「大体の人間は優しい」という発言に「それも分かる」と思っていたので、どれだけ「優しい」と言われても、自分が特別優しい人間ではないということは分かっているつもりではいた。それでも仮にもしわたしが平均値より「優しい」とするならば、それはその分人に優しくしてもらってきたからだとは思う。「こんな優しさをくれるんだ」「こんな思いやりをくれるんだ」と感動したことが人生で何度かある。そこまで感動をくれる人は人数で言うと何人もいるわけではないけれど、でも確かに存在していて、そしてそれに助けられてきて、嬉しい感情をもらってきたから、それが自分の価値観に影響を与えていることは間違いないなと思う。ただ、自分の「優しさ」や「思いやり」がかなり薄いとも思っていて、なんというか、他人にかける言葉が自分が本当にそう思っているというよりは「こういう風に言って欲しいんだろうな」ということを相手の中に探してそれを言語化している感じなので、わたしが本当に相手を思いやっているのではなくて「なんて言って欲しい?」を一人で考えて他人軸で発言しているところがあり、本質的にはわたしはあまり優しくないんだろうなと思ったりもしている。その言葉で元気になってくれるならそれは本当に嬉しいのも本心ではあるけれど…。

 

なぜこんなことを考え始めたかと言うと、向井康二さんの10000字ロングインタビューを読んだからだ。9/21まで限定で様々なグループのインタビューが集英社オンラインなどでテキストのみ全文掲載されている。

ジャニーズ10000字記事一覧 | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい

向井康二さんことは詳しいわけではなく、今のところ特別熱中したこともないけれど、ジャニーズWESTの後輩ということで関西ジュニアの頃から知っているし、まいジャニの頃もMCや話を回すけれど面白いこともできる立ち位置の子なんだなと思っている程度だった。デビューされるまでの紆余曲折も概ね把握しているつもりだったが、本人がどのように語っているのか知りたくて、1番初めに向井康二さんのインタビューを読んだ。

向井さんの歩んできたジャニーズ人生に興味があって読み始めたはずなのに、ほんっっっとに優しい人なんだな、と思ったのが、ものすごく淡白な表現になってしまうけれど正直な感想だった。向井担の方からしたら向井さんが優しいなんて今更なことなのでしょうが…。向井さん自身が悪意そのものを持ち合わせておらず、根で人を傷付けたくないと思っている、近くにいる人を大切にしたいと思っている、そういう人なんだなと感じた。他の界隈の者が一部だけを見て感じたことなので本当は全く違うのかもしれないけれど、特別応援しているグループ以外のインタビューを読んでこれほど気持ちが動くこともないと思うので、思ったことや考えたことを書き残しておきたいと思う。

仕事で東京に行ったときに会いに行くと、俺は出前の皿を洗ったり、ジャニーさんがうたた寝してたら毛布をかけたり普通にやってたんですね。そしたら、“ゴマすんな”みたいなこと言うJr.がいて。“は!? だったらお前がもっと大事にしろよ!”ってケンカになったことがあって。

「だったらお前がもっと大事にしろよ!」って、「人を大事にしたい、するべき」っていう前提がないと出てこない言葉だと思うので、向井さんの人間性が強く表れてる部分だと思った。近くにいる人に何かしてあげることは向井さんにとっては当たり前のことで、たぶん向井さんは相手がジャニーさんじゃなくても毛布をかけてあげるんだと思う。思春期だろうし競争の中にいるから「ゴマすんな」って言ったJr.の子の気持ちも分からなくはないけど、それに対して「だったらお前がもっと大事にしろよ!」って返せるの、まじで愛のある人だなと思う。向井さんにとってちょっとしたお世話をすることは相手を「大事にする」表現のひとつなんだなと思う。ちゃんと愛を行動で表現できる向井さんは素敵な人だと思う。

人によっては焼け野原に見えても、あの日の関西Jr.を応援してくれた人には、キラキラした花が咲いて見えてた。そこに確かに愛があったんです。焼け野原って言われるのはしょうがない。でも、俺や関西Jr.のメンバーが言うのはちがう。ファンを傷つけてしまったなって反省してる

自分が楽しく応援してたときのことをアイドルが振り返って「あの頃は本当に辛くて正直辞めたかった」と言っていたときに何とも言えない虚しい気持ちになった方、いらっしゃるんじゃないかなと思うけど、それすらも振り返って「反省してる」と言えることは強さでありファンを思いやる優しさだと思う。応援し続ける人には、どんなときも彼らにいるところに花が咲いて見えるし、花が咲いて見えないと応援し続けることができないから、虚像でも、できるだけ花が咲いてるように見せ続けてほしいと思ってしまう。応援されるに足る対象であり続けようとする気高さを持つアイドルのことが好きだ。

俺が笑いを取ろうと“SixTONESのほうがカッコいいです”って言ったんだよね。会見が終わったらラウールに、“康二くんのこといつも大好きだけど、ああいうネガティブなコメント、俺はダサいと思う”って真っ直ぐ目を見ながら言われた。会見を盛り上げなきゃって思ったのもある。でも、なんでも笑いにしようとするのは俺の悪いクセだね。

年下からの指摘をここまで素直に受け入れることができるところが、後輩に対してもフラットに接していることが伺える気がして、やっぱり根本的に良い人なんだなと思えてすごく良いなと思う。「そういう笑いですけど?」ってちょっと言い返すこともあり得ると思うけど、受け入れて改善できる素直さが向井さんの器の大きさを表しているような気がする。

インタビューを読んで、やっぱり向井さんって他人に対して思いやりを持っているという意味で本当に優しいんだなと感じた。他のジャニーズタレントに対しても思うけれど、思い通りに行かないこととか、報われないと感じたりとか、劣等感を覚えたりとか、そういう、人に不信感を抱きそうになった瞬間もいろいろあっただろうに、みんな他者に対して斜に構えず腐ってない雰囲気が、本当にすごいなと思う。そういう人しか残っていないのかも知れないけれど。

以前、SnowManが「行列のできる法律相談所」にメンバー全員で出演されていたとき、King & Princeの平野さんからのメッセージで

人ってこんなに優しいんだなということをジーコからスゴく学んだ気がします

という部分があったけど、この言葉もすごく素敵だな思っていて、「こんなに優しい人に初めて出会った」とは似て非なる表現で、「向井さんに出会って人に対する「優しい」の考え方が変わった」という、自分の価値観に影響を与えたっていうニュアンスが含まれてるので、少し大きくなってしまうけれど「あなたに出会って世界の見え方が変わった」くらいの意味があると思う。向井さんの「優しさ」は人の価値観を変えるんだと思うと、やはり本当に優しい人なんだろうなと思う。

面白い担当というかボケ担当なんだろうと思うし、いわゆるリア恋枠的なこととは少し違うのかもしれないけれど、近くにいたら幸せになれる人なんだろうなと思った。

向井さんはわたしみたいに相手の中の答えに合わせて優しさの解を導き出す人ではなくて、主体的に周りの人を思いやり、自分の選択として人に優しくできる人なんだと思った。

正直、わたしはもう優しくしたいと思える人にしか優しくしたくないし、善意を搾取されたりしたくもないなと思ったことがあるから、向井さんに比べたら全く利己的な人間だと思うけれど、10000字を読んだだけで「優しさ」について考えさせてくれる向井さんは素晴らしいアイドルだなと思った。